安倍自民総裁:カジノ含むIR法案、臨時国会で成立目指す
ブルームバーグ 2014年6月25日
安倍晋三首相は24日、ブルームバーグ・ニュースの単独インタビューで、カジノを含む特定複合観光施設(IR)を今後の日本の成長戦略の目玉として検討していく考えを表明した。自民党議員らが議員立法で国会に提出したIR推進法案についても、同党総裁として次の臨時国会での成立を目指す考えを示した。
安倍首相は5月30日にシンガポールのIRを視察したことに触れ、「観光振興や地域振興、産業振興に資することが大いに私は期待されると思った」と述べ、「日本の成長戦略の大きな目玉の1つになり得る」と指摘した。同時に青少年の健全育成、依存症対策、犯罪防止対策についても「しっかりと検討を進めていく」と述べた。
継続審議となったIR推進法案に関しては「既に審議がスタートした。次の臨時国会で、これは議員立法だが、成立を目指している」と説明した。
政府が24日閣議決定した成長戦略はIRについて「観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待される」と指摘。「その前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なこと」から、「関係省庁において検討を進める」と記している。
安倍首相はインタビューで、2020年の東京五輪開催を「追い風」として、日本政府が年間の訪日外国人旅行者数2000万人を目指した取り組みを進めていることも紹介した。
東京五輪
IR推進法案は、国際観光産業振興議員連盟(IR議連、通称:カジノ議連)の細田博之会長(自民党幹事長代行)ら自民、日本維新の会、生活の党などの議員が昨年12月に提出。18日には衆院内閣委員会で審議入りし、次の国会で継続審議が決まっている。
自民党の同委メンバーは通常は秋に召集される臨時国会での成立を目指している。仮に同法案が成立すれば政府は1年以内に実施法を整備。その後、区域や業者を決定して建設工事に入る。議連事務局長の萩生田光一自民党衆院議員は18日の衆院内閣委員会で、東京五輪までの開業に努力すべきだとの考えを示した。
地方自治体では、これまでに東京都、大阪府・市のほか、長崎県や北海道、沖縄県などが誘致への関心を示している。海外のカジノ運営業者では、世界最大の米ラスベガス・サンズが、日本事務所を開設して1兆円を投資する準備があることを表明。ラスベガスのウィン・リゾーツやMGMリゾーツ・インターナショナルは、最終的に日本でのカジノ事業の新規株式公開(IPO)を目指すという。
大和証券の木野内栄治シニアストラテジストは電話インタビューで、安倍首相が自民党総裁として法案の成立を目指すと発言したのは「重い」として、「秋の臨時国会で通る可能性が極めて高い」と述べた。
ソース:http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/N7MGJ96JIJVN01.html