仙台もまだ水面下で動きはあるんですね。 秋田としては最終的にこの動きこそ脅威となるかも。今後も要チェックです。
アングル:「仙台でカジノ」案に復興加速の期待、批判も根強く
2014年 10月 24日 16:32 ロイター
[仙台 24日 ロイター] – 東日本大震災で被災した宮城県で、地元政財界でカジノ推進派が、3年を経過しても進まない復興を加速させる「切り札」として誘致に期待感を高めている。ただ、依存症が指摘されるカジノが「学都」仙台にふさわしくないとの批判があるほか、臨時国会でのカジノ法案成立のめども不透明で、推進派は内外の情勢を慎重に見守っている。
「まだまだ復興のためにやるべきことは、たくさんある。これから財政負担は増えるし、いろいろなところで税収を上げなければ」──。
宮城県議会の今野隆吉議員はこう話し、カジノ誘致に前向きだ。県議会議員59人のうち、カジノ誘致に賛成する連盟には40人超が所属。臨時国会でカジノを含む統合型リゾート(IR)を合法化するための「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(通称カジノ推進法案)の審議がいつ再開するか、見守っている。
<知事は反対、被災地の依存症問題も懸念>
しかし、村井嘉浩知事はIRに反対の姿勢を示している。2年前に誘致話が出た際は「震災からまだ間もないのに」と反発を受けた。震災で職を失った被災者が義援金をパチンコ利用に充て、依存症が拡大しているといった問題も、同県内では指摘されている。地元の反対が起こるのは必至だとみられている。
日本弁護士連合会の多重債務問題検討ワーキンググループ座長、新里宏二氏は、パチンコの売り上げは全国で減少傾向にある一方、被災した3県では逆に伸びていると指摘。新里氏は、カジノに対し「人の不幸を前提としたビジネス。それを経済成長の柱にしていいのか」と疑問を呈する。
<復興の後押しを期待>
他方、賛成派の論拠は、IRによる雇用の増大と経済的な効果で、復興を加速させることができるという点だ。
2011年3月の震災で宮城県が受けた被害は深刻だった。死者・行方不明者数は、県ホームページによると計1万1767人。いまだに7万を超える人は、民間の賃貸を含む仮設住宅での生活を余儀なくされている。
復興に関連する建築業界の雇用拡大などを背景に、同県の有効求人倍率は改善している。だが、空港のある岩沼市と名取市は、がれき撤去は完了したとはいえさら地も多く、復興への道のりは遠い。
今野議員は「復興しなければ。空港の周りは、ようやくがれきを処理しただけ。(住宅建設など)これからやらなければいけないことが、たくさんある」と、経済の活性化が周辺地域に広がることの重要性を強調する。
IRは、カジノのほかホテル、ショッピングセンターなどが複合的に集まるエンターテイメント施設。すでに、大阪府(夢洲)や沖縄県、神奈川県(横浜)、北海道、長崎県(佐世保市)などに、誘致に前向きな地方都市は20程度あるとされる。
仙台市はトリノ五輪のフィギュアスケート・金メダリスト、荒川静香選手の地元ということもあり、アイスアリーナの建設構想など独自色も膨らむ。関係者は、温泉やスキーリゾートを隣接させて海外観光客を呼び込みたいと目論んでいる。
<米カジノ会社が接触>
同県の復興IR誘致委員会の会長で土木建築業を営む永窪威氏は「反対する人の言い分もわかる。ただ、(経済)復興のための代替案は他にあるのか」と問いかける。ある米カジノ会社は500億円出資する意欲を示したという。永窪氏は、空港の民営化と相まって「またとない機会」と意気込む。
それでも、現段階でこうした推進派は、目立った行動は控えている。2年前に反発を受けた苦い経験もさることながら、まずは開会中の臨時国会で法案が可決・成立することが大前提になるためだ。
推進法案の成立後は、国がカジノ合法化を後押しする体制になる。岩沼商工会の小野宏明会長は、仙台空港周辺の活性化や町おこしを模索しているが「歯車が動き出した感じ。今がチャンス」と、法案成立に期待を寄せる。
<国会迷走>
ただ、順調に進むかどうかは不透明だ。安倍晋三内閣の女性2閣僚の辞任や「政治とカネ」の問題が再び表面化し、与党主導になるとみられていた臨時国会の運営が迷走し始めたためだ。
こうした流れを受け、複数の政府筋とカジノ関係者はロイターに対し、カジノ推進法案の審議再開が月内の予定から11月にずれる見通しになったことを明らかにしている。
仮に衆院で可決されても、参院での審議時間が減れば、11月30日を会期末とする今臨時国会での成立は難しくなる。仙台カジノ構想は再び宙に浮く可能性も残されている。
(安藤律子、翻訳編集:江本恵美)
ソース:http://jp.reuters.com/article/jp_Abenomics/idJPKCN0ID0KK20141024