日経ビジネス オンラインのIR特集、第3回目です。
ビジネスパーソンのためのIR(統合型リゾート)基礎講座
第3回「ビジネスパーソンはIRをどう見ているか」「IRを詳しく知っている」(14%)~日経BP「IRに関する意識調査」から
日経ビジネス オンライン 2014年7月29日(火)
鈴木 昭、井上 健二(フリーランスライター)
日経ビジネスオンラインの読者を主な対象として実施した「第1回カジノを含む統合型リゾート(IR)に関する意識調査」(企画:日経BP、日経BPコンサルティング)の集計結果がまとまった。
有効回答数は1154名。男女比は男性76.2%、女性23.8%。回答者の平均年齢は44.9歳。
日本国内へのIR導入の議論が活発化していることを「詳しく知っている」と答えたのは14.0%にとどまった。大半のビジネスパーソンにとってはIRの日本導入の動きについては、「聞いたことがある」68.8%という程度の認識しかないというのが現実だ。
この段階でIR導入の是非について、「賛成」20.6%、「どちらかといえば賛成」46.1%、「反対」11.6%、「どちらかといえば反対」21.7%と回答。
IRを推進するメリットの1位は「海外からの集客が見込める」59.8%、2位「経済効果が見込める」58.1%。デメリットの1位は「ギャンブル依存症が増加する」64.3%、2位「暴力団組織等の介入を招く」58.5%だった。
本調査は質問項目が36項目に及ぶものだが、今回の「ビジネスパーソンのためのIR基礎講座」では、調査結果を抜粋してご紹介する。
日経ビジネスオンラインの読者に対して、カジノを含む統合型リゾート「IR」に関する利用経験や認知度について質問した。
IRやカジノの利用経験のある人は40.4%。利用国・エリアの1位は米国ラスベガス17.1%、2位は香港・マカオ13.0%、3位は韓国11.7%、4位はシンガポール4.7%となった。
IR利用経験者に利用した施設を選んでもらうと、1位はカジノ89.3%、2位はホテル・宿泊施設73.8%、3位は飲食施設61.5%となり、4位ショッピングモール45.0%、5位劇場などの大人向けエンタテインメント施設34.3%、6位遊園地などのファミリー向けのエンタテインメント施設18.8%と続いた。
IR経験者の平均利用金額は8万5700円
実際にIRやカジノ施設で利用した金額(宿泊費、飲食費、カジノでの投資金額の合計額)は、利用者の平均で8万5700円。米国ラスベガスでの平均利用金額は15万4400円と他の国・エリアと比べて高めになっている(香港・マカオ9万1900円、シンガポール9万800円、韓国7万3600円)。
IR施設のブランド認知度はまだまだ低い
海外のIR施設の名称が、ビジネスパーソンにどの程度知られているかを聞いた。認知度(知っている人の割合)が20%を超えたIR施設は、「MGMグランド・ラスベガス」(24.5%)、「ヒルトン グランドバケーション クラブ アット ザ ラスベガス ヒルトン」(23.4%)、「マリーナ・ベイ・サンズ」(23.1%)、「シーザーズパレス」(20.3%)。ラスベガス、マカオ、シンガポールといった地域や国では記憶しているが、具体的なIR施設の名称(ブランド名)の認知度となるとまだ浸透しているとは言えない。
IR推進法案が先の通常国会で審議入りしたのが6月18日のこと。調査期間(5月14~26日)の段階で、カジノを含むIR推進の動きや議論が活発化していることについて「詳しく知っている」人は14.0%。「聞いたことはある」が68.8%。「知らなかった」が17.2%。一般のビジネスパーソンにとってIRとは何たるものか、あるいはどのように国会審議が進んでいるのか、具体的に理解している人はまだまだ少ないというのが実情のようだ。
IR導入「賛成」20.6%、「どちらかといえば賛成」46.1%
この段階でIR導入についての是非を問うと、「賛成」20.6%、「どちらかといえば賛成」46.1%、「反対」11.6%、「どちらかといえば反対」21.7%という結果となった。
IRを推進するメリットについては、1位に「海外からの集客が見込める」59.8%があげられた。2位「経済効果が見込める」58.1%、3位「国内観光業が活性化する」42.4%、4位「建設事業が発生することで、日本の景気に貢献ができる」38.9%、5位「波及効果で地元が活性化する」33.8%と続く。
一方、デメリットについては、「ギャンブル依存症が増加する」64.3%がトップにあげられ、続いて2位「暴力団組織等の介入を招く」58.5%、3位「金銭を狙った犯罪が増加する」51.6%、4位「地域環境・治安の悪化を招く」44.2%、5位「青少年が悪影響を受ける」38.8%だった。
日本版IR企業に求められる条件1位は「信頼度」
日本でIRを開業する場合のIR運営企業にはビジネスパーソンは何を求めるのだろうか。日本版IRオペレーターとして重要と思う点について67.4%の人が「信頼できる」企業であることを1位にあげている。2位は「公正で透明性がある」59.3%、3位は「サービスの質が優れている」52.1%となった。「日本社会や文化を理解している」も45.2%で5位にあがった。
日本版のIRが開業したらビジネスパーソンは実際に行ってみたいと思うかどうか。利用意向の問いには「ぜひ行きたい」17.2%、「行きたい」37.3%と合計54.5%の人が行きたいと答えた。行きたいと答えた54.5%の人に対して、「どのくらいの頻度で行ってみたいか」という問いかけには「年に1回程度」33.0%という回答者が一番多かった。「年に2~3回程度」24.6%、「2~3年に1回以下」22.2%と続いた。
さらにこの行きたい54.5%の人に、日本版のIRの中で「行ってみたい施設」についての問いには、1位「カジノ」81.3%、2位「ホテル・宿泊施設」69.0%、3位「高級レストランやバーなどの飲食施設」56.2%、4位「遊園地、テーマパークなどのファミリー向けエンタテインメント施設」51.6%という回答だった。
日本版IRでやりたいゲーム1位はルーレット
さらに日本版のIRに行くとしたら「1回でいくらくらい利用すると思うか」をたずねると、上記質問の行きたい施設ごとに、「カジノ」では平均4万6900円、「ホテル・宿泊施設」では3万4600円、「高級レストランやバーなどの飲食施設」では2万7500円、「遊園地、テーマパークなどのファミリー向けエンタテインメント施設」では1万8100円といった結果だった。
最後に、日本に合法的なカジノができた場合、カジノに行ってみたい人の中で、具体的にしてみたいゲームの1位は「ルーレット」84.6%で、2位「スロットマシーン」71.3%、3位「ブラックジャック」48.2%、4位「ポーカー」32.8%と続いた。選択肢として入れた「麻雀」9.6%、「花札」7.4%は上位にはあがってこなかった。
日経ビジネスオンライン・観光イノベーションでは、今後も継続的にビジネスパーソンを対象とする「IRに関する意識調査」を実施していく。秋の臨時国会での継続審議を前に、IR導入に関する報道や議論がなされていく中で、IRに対する意識に変化が生じていくかどうかを調査し、報告していく予定だ。
本調査について○調査名称:「カジノを含む統合型リゾート(IR)に関する意識調査」
○調査方法:WEB調査
○調査対象:電子メールで協力依頼。
<条件1>ビジネスリーダー:日経ビジネスオンライン読者層のビジネスパーソン
<条件2>一般ビジネス層:協力会社のオンラインパネルより抽出したビジネスパーソン
○有効回答数:1154件
○属性
男女比:男性76.2%、女性23.8% 回答者平均年齢:44.9歳。
すまい:家族53.1%、夫婦のみ21.0%、一人暮らし17.5%
世帯年収:500万円未満29.1%、500万~1000万円41.4%、1000万円以上19.0%
○調査期間:2014年5月14日~26日
○調査企画:日経BP(日経ビジネスオンライン・観光イノベーション)、日経BPコンサルティング
ソース:http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140725/269217/?P=1