今度こそ先送りされずに進むのか?!期待です!
カジノ法案、仕切り直し 東京五輪も視野に成立めざす
2016/10/2 0:47 日本経済新聞 電子版
カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)を巡り、与野党に今国会での成立を目指す動きが出始めている。一度は廃案に至った法案をどう仕切り直すのか。推進派内では、自民党の二階俊博氏が幹事長に就いたことで、慎重論が強い公明党との調整が進むのでは――との期待感が高まっている。
9月29日。超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)が、7月の参院選後初めての役員会を開いた。
「観光振興という面でIRは必須だ。法案の成立を期したい」。会長の細田博之自民党総務会長はこう訴え、カジノ法案の今国会成立を目指す考えを表明した。
カジノ法案は衆院で審議入りした2014年当時から「早期成立が必要」と言われ続けてきた。20年東京五輪前に日本各地にカジノを整備し、東京五輪と合わせた観光客誘致と経済振興をアピールしてきたからだ。
だが既に審議入りから2年。法案成立後の実施計画策定や事業者選定、カジノ建設などを考えると「もう東京五輪に間に合わない」(政府関係者)と悲鳴が上がる。
最近は代わりに「東京五輪後の景気浮揚策だ」(与党関係者)との理屈が広がり始めた。大阪への誘致を目指す25年の国際博覧会(万博)との相乗効果を期待する声もある。大阪が地盤の日本維新の会は7月の参院選公約でIRの法整備を明記。代表の松井一郎大阪府知事は12日のIR議連総会に出席する予定だ。
最大の課題は公明党の説得だ。同党はかねてギャンブル依存症や青少年への悪影響に懸念を示してきた。山口那津男代表は先月末に「党内の状況は変わっていない」と表明。周辺には「カジノは全く必要ない」と話す。
推進派が期待を膨らますのは二階氏の自民党幹事長就任だ。谷垣禎一前幹事長よりカジノに前向きとされ、公明党とは太いパイプがある。二階氏は「もう少し様子を見て慎重に対応したい」と態度を鮮明にしていないが、IR議連幹部は「自公調整の最終局面は二階氏頼みだ」と話す。
菅義偉官房長官も最近、周囲に「IRはしっかりやる」と話しており、公明党の説得に動く構えだ。14年衆院選で公明党が候補を立てた大阪・兵庫の6選挙区で維新が候補擁立を見送った際、菅氏は裏で調整に動いた。
カジノ推進に動く維新内には、次期衆院選で大阪・兵庫での候補者擁立をちらつかせて公明党の譲歩を引き出す案もある。菅、二階両氏という2枚の「公明カード」と維新。公明党にどう働き掛けるかがカギになる。
IR議連の細田会長も近く公明党と調整に入る。カジノ法案が成立すれば、具体策を盛り込む新たな法案をつくる時点で公明党の意向を反映させると提案する考えだ。
野党第1党の民進党内には賛否両論がある。蓮舫代表は「法案が実際に出るかも判断しないといけない」と公明党などの動向を注視する構えだ。
▼カジノ法案 カジノや宿泊施設、会議場など統合型リゾート(IR)の整備を後押しするための法案。超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党総務会長)が作成した。施行後1年以内に、政府にカジノ運営などのルールを定めた法案を提出するよう義務づけている。
2013年12月に自民党や当時の日本維新の会が議員立法として共同提出した。14年6月に衆院で審議入りしたが、同年11月の衆院解散で廃案に。15年4月に再提出したが、同年の通常国会は安全保障関連法の審議、16年の通常国会は参院選への影響をそれぞれ考慮し、審議されなかった。